#66 How to pour the perfect beer


人は誰でも自分の中に、何らかの「こだわり」というものを持っていますよね。それはファッションだったり、道具だったり、あるいは食材といったモノだったりします。中には全くこだわりがないという人もいますが、そういう人は往々にして感性がイマイチだったりするので、こだわりが無いという人は、今からでも遅くはないので何かにこだわる事をお薦めします。というのも、たとえ小さくてもこだわることによって物事が巧くいくと、少なからず幸福感を味わえるからで、その幸福感を再度味わうために、またこだわる。そしてそれが結果的に自分自身を磨く事につながることになるんですね。なんだかややこしく、余計なお世話ですが。

そのこだわりの欲求というか精神は、美味しいビールを飲むためにも大いに役にたちました。少しでもビールが美味しくなる事を求めて、先人達は様々な創意工夫を重ねてきましたが、グラスへの注ぎ方にもこだわり、工夫を重ねてきました。その結果、国毎に、ビールの種類毎に、果てはお店毎にそれぞれ美味しい注ぎ方を開発してきました。

 

この2つのビデオもその結果として出来上がったもので、ベルギーの「ステラ・アルトワ」、アイルランドの 「ギネス」、それぞれがパーフェクトと主張するビールの注ぎ方のビデオです。ステラ・アルトワは9ステップ、ギネスは6ステップとなっていますが、両方ともビールの特性に合わせた結果とのこと。当たり前ですが。

 

ステラ・アルトワの特徴は、グラスをきれいに洗浄することも、ビールを美味しく飲むためのプロセスとしている所です。グラスを洗剤等で良く洗ったあと水ですすぎ、埃、曇り、油分をしっかりと落としてからビールを注ぎます。確かにグラスが汚れていると泡立ちが悪かったりするので、きれいにして飲むのは基本ですよね。そして最後の泡をカットしたあとも、水につけてグラスの回りを洗浄、と水の洗浄に始まって洗浄に終わるといったところでしょうか。

 

それに対しギネスは、グラスの洗浄は当然のこととして省略されているようです。いきなりグラスのロゴマークの部分を目安にビールを注ぐところから始まり、そこで一旦休止。注がれたビールがグラスの中でサージングという対流を起こすので、それが落ち着くのを待つ=泡が落ち着くことになります。泡が落ち着き、クリーミーヘッドと呼ばれるきめ細かな泡のフタが出来上がると、最後にそのクリーミーヘッドがグラスの縁からわずかに持ち上がるようにビールを追加します。そうするとパーフェクトギネスの出来上がりとなるようですね。

 

このように注ぎ方を懇切丁寧に解説するのはステラ・アルトワ、ギネスくらいだといえますが、決して他の銘柄が粗末にしている訳ではありません。またどちらの注ぎ方が優れているというものでもありません。いずれにしても言える事は、どちらのビールも美味しいということです。