▼About Beer (from THE BEER BOOK by Tim Hampson)


イタリア / 環太平洋

イタリア 

 古くからワインを醸造しているイタリアも、ビール醸造国として存在感を増しています。米国の醸造家たちが、イタリアの新しいビール醸造所にヒントを求めて見学ツアーに来ることも珍しくありません。

 テオ・ムッソは、バローロやバルベーラのワインで有名な地域に住んでいます。彼のル・バラダン・ブルワリーでは、ワイン酵母とウィスキー酵母を併用して素晴らしいビールが製造されています。ここのビール「グジョーユ」は、1年間酸化させて、口の中がひりひりするようなシェリー酒風味を醸し出します。また、ビールの発酵タンクに大きなヘッドフォンを取り付けています。聴かせる音楽の種類によって、ビールの品質と性格に影響が出るそうです。

スイスとの国境近くにある小さな村ロロにはビードゥというブルーパブがあり、醸造家のベッペ・ヴェントが今までのスタイルとは異なるビールを提供してくれます。例えば、濁りのある食前酒のロデルシュは、食べごたえのある料理の前にはピッタリの「前走者」になってくれます。

 自家醸造家だったアゴスティーノ・アリオーリは、カナダのバンクーバーにあるグランヴィルアイランド・ブルーイングを訪れた後、あるひらめきを覚えました。そして、ピッリフィーチオイタリアーノというプルーパブをマリオーネに開設します。ピッリフィーチオのフルーレットという製品は、大麦、小麦、ライ麦を使って醸造され、バラの花弁で味付けされます。また、4種類のホップを使用するティポピルスは、Ratebeer.comでベストピルスナー賞を受賞しました。

 

環太平洋地域

 日本の伊勢角屋麦酒は、味噌と地元でとれるゆずの絞り汁を使用しています。日本の醸造所には、カベルネ種のブドウを大樽やケトルに加えているところもあります。また博石館ビールでは、天然酵母を使用して日本スタイルの独特のランビックを造っています。

オーストラリア人は淡黄色のラガーが大好きですが個性的で新しいビールを求める人も増えています。この新たな需要には、大手ビールメーカーだけでなく、近年増加する小規模醸造所も応えており、現在では100か所以上の醸造所が様々なスタイルのビールを出荷しています。国内のワインメーカーもうかうかしていられません。

 家族経営のクーパーズ・ブルワリーは1862年創業で、濁りのある様々なボトルコンディション・ビールを造り続けています。一方、フリーマントルにある比較的新しい醸造所、リトルクリーチャーズは、アメリカンスタイルのホップが豊富なペールエールを地元向けに出荷しています。