#6 ドイツビールの少数派

 

 ドイツでも主流はピルスナースタイルですが、古くからの個性的なタイプのビールを造っている醸造所も未だ健在です。ケルシュ、アルトビールといったお馴染みのスタイルに加え、燻製香が魅力のラオホ、黒くて甘いシュバルツ、そして繊細な味が特徴のゴーゼなどの存在は、ドイツビールの奥深さを物語ります。

 

ドイツ北部の工業都市だったドルトムント、サッカー日本代表の香川選手の所属するチームの所在地としても知られていますが、そこのドルトムンダーはラガービールながら、通常のピルスやヘレスよりドライで強めです。工場労働者には人気があった銘柄ですが、今ではほとんど見かけなくなっています。

 

その他ラガーで見かけなくなっているものには、ケラービール、スタインビア、シュペツィアル、ロッゲン(リュービア)、ツォイグル(バイエルン北部の共同体で醸造)などがあります。その他にきわめて希少なものとしてゴーゼがありますが、これはウィートビールで塩とコリアンダーのフレーバーがあり、ライプツィヒと商品名の由来となったゴスラー周辺のみで販売されています。

(世界のビール図鑑、ネコ・パブリッシング刊より抜粋)

 

スモーキービール

バイエルンに隣接するフランコニアには、歴史ある美しい街、バンベルグがあります。ここが燻製風味のラオホ発祥の地です。そこではブナ材を使用してモルトを燻製加工し、ビールにスモーキーな味と香りを与えますが、これが印象深くて癖になるラオホの特徴です。味が濃いめの料理やサーモン・ハムなどの燻製料理に合います。

 

ダークビール

ドイツのダークビールには、シュバルツとデュンケルの2種類があります。シュバルツは絶滅寸前でしたが、旧東ドイツのチューリンゲンで息を吹き返しました。漆黒の風味良好なビールで、モカコーヒー、バニラ、焼き菓子の香りがします。

 

バイエルンデュンケル

デュンケルの中でもバイエルンのデュンケルは濃い赤茶色なのが特徴です。典型的な例はヴェルテンブルガークロースターのバロックデュンケルで、ボディがしっかりとしたチョコレート風味とココアのテイストのビールです。