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▼2011 DECENBER


#16 ホワイトビールの神様 "Pierre Celis"

ベルギーの代表的なホワイトビール"Hoegaarden"

 

 ヒューガルデン村でのビール造りは、資料館に残されている文献によると、およそ700年前までさかのぼることができます。ただし現在の味に近いホワイトビールが造られるようになったのは15世紀になってから。ベガーデンという神父さんが醸造を始めたのが起源とされています。

その後ホワイトビール造りは徐々に発展し、最盛期には人口2,000人の村に35の醸造所がありましたが、酒税の引き上げなどにより衰退。1957年のトムシン醸造所の閉鎖でホワイトビールの醸造は一旦途絶えることになりました。ところが、フランス語で行なわれる授業についていけず、17歳で学校を辞め、20歳のときトムシン醸造所で働いた後、牛乳屋に勤めていた男がホワイトビールを復活させます。復活させたその男の名はピエール・セリス。

 ピエール・セリス(1925年生まれ)は、40歳のとき初めてホワイトビールを試作し、1966年に「デ・クライス(僧院・修道院)醸造所」を立ち上げました。彼が樽を二つに割って醸造したホワイトビールは「ヒューガルデン・ホワイト(Hoegaarden Wit Bier)」と名付けられ、大絶賛を浴びることになります。かつてヒューガルデン村のビールは陶器に注がれるのが習わしだったのですが、それはピルスナーのような「美しさ」がないことを隠すための羞恥に起因していたそうです。ところが美しさを邪魔する白く濁った色と、底に溜まった滓が、逆にナチュラルなビールとの評判を獲得し、デ・クライス醸造所は一気に規模を拡大していきます。

 そのビールは20年後には威信を持って造られ、年産30万バレルに達しましたが、1985年、醸造所は大火災に見舞われてしまいました。規模が大きくなったこともあり自力での再建を諦め、最終的には現在のアンハイザー・ブッシュ・インベヴ社に売却することになります。

 そして1992年、セリスは娘の住む米国オースティンに行き、そこで新たに「セリス・ホワイト」というベルジャンスタイルのホワイトビールの醸造を始めます。ヒューガルデンよりソフトで、少しフルーティーで、フレーバーが高い上品なビールでした。その後、グレート・アメリカン・ビア・フェスティバルで何度もメダルを獲得するなど成功を収めましたが、3年後の1995年にミラー社が買収するも、2001年にミラー社が撤退。

 現在は、ヨーロッパ向けにはベルギーのヴァン・スティーンベルグ醸造所で、アメリカ向けにはミシガン・ブルーイング・カンパニーがライセンスを取得し、生産されています。

 

「40歳のときにホワイトビールを試作し、一度は途絶えたベルジャン・ウィートエール(フーハールズ:Hoegaards)の伝統を復刻し、ホワイトビールのゴッドファーザーとして君臨してきたピエール・セリス。ヒューガルデン・ウィット、ヒューガルデン・グランクリュ、禁断の果実、セリス・ホワイト、グロッテンビール・・・・。彼が生涯に生み出したビールは25銘柄にのぼるといわれています。」

 

残念ながら2011年4月9日、86歳で亡くなりました。

 


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#15 クリスマスビール

今日、12月24日はクリスマスイブ。皆さんそれぞれにクリスマスを楽しむため、いろんな準備をされていることと思います。街並もクリスマス一色で、ウキウキワクワクといった気分でいっぱいですね。そこで、今回はそんなクリスマスをもっと楽しむための仕掛けとして、欧米では一般的な「クリスマスビール」を紹介したいと思います。

クリスマスの飲み物といえばワイン・シャンパンですが、特にワインは「キリストの血」といわれるように、キリスト教とは密接な関係にあります。そんなわけでクリスマスの時期にワインを飲むのはごく自然なことで、結果、この時期のワインの消費量は普段の数倍となるようです。ちなみに日本人一人当たりのワインの年間消費量は平均約2リットル。仮にクリスマスの日にボトル(720ml)1本をあけるとしたら、それだけで年間消費量の半分近くが飲まれたことになりますね。ちょっと話がそれてしまいましたが、クリスマスというのはキリスト教徒にとっては特別な日で、アルコールの消費量も一気に上がる時期でもあります。それもあってビール醸造所もワインと同じようにクリスマスを祝うための特別なビールを造ったのが、このクリスマスビールの始まりだといわれています。

クリスマスビールはまだ長期保存技術が乏しかった頃、天然の保存料となるスパイス類をたっぷり使い、さらに長時間の発酵・熟成によりアルコール度数を高めることで長期保存を可能にし、クリスマスからお正月の時期に美味しく飲めるように工夫がされたビールです。そのため現在もアルコール度数が高めのダークビールがベースとなっており、ホップ以外に、クローブ、シナモン、リコリスなど様々なスパイスを使うなど、醸造所にとっては自社の醸造技術満載の自慢のビールでもあります。したがって、一気に飲むのではなく、アロマ・フレーバー、苦み、口当たりなどを、時間をかけて味わうことをお勧めします。

 

それでは以下に代表的な銘柄をご紹介します。

 

■ブッシュノエル

トゥルネイ東部にあるデュビソン醸造所のクリスマスビールです。モルトはピルスナーモルトとキャラメルモルト、ホップは、ケント産ホップとゴールディングホップが使用されるなど、贅沢な素材がたくさん使われた、クリスマスのために造られた特別なビールです。

■アンカースペシャルエール
毎年末にアンカー社のビールを愛飲するお客様に 「感謝の気持をこめて」届けられる特別限定エールで、1975年から毎年製造されています。
シナモン、ナツメグなどのハーブ、スパイス類で風味付けされたこのエールは、毎年違うレシピのもとその栓を開封するまでその年の味わいを確かめられない大変貴重なエールとされています。

■ゴールワーズ・クリスマス

ベルギーのデュ・ボック醸造所のクリスマス限定ビール。焙煎したモルトの甘みと、スパイスの香りのバランスが絶妙のダークビールです。

■サンフーヤン・キュヴェ ド ノエル
オレンジがかった濃い茶色で、フルーティーな香り、チョコレートのような甘い香り、シナモンのようなスパイシーな香りもあり、とても複雑な香りを楽しむことができます。味わいはスパイシーでモルトのしっかりとした甘味が感じられ、苦味とのバランスも良好です。

■デリリゥム・クリスマス
オランダ語で「アルコール中毒による震え」という意味を持つベルギーのデリリウム・トレーメンスのクリスマスバージョン。5種類のスパイスが絶妙な味わいを作り出しています。3種類のフランス産ダークモルトとベルギー産ホップを使用したアンバータイプです。

この他にもいろんな種類のクリスマスビールがありますので、飲んだことがない方には是非一度味わってみることをお薦めします。そしてお気に入りのクリスマスビールを見つけ、年に一度の楽しみとしてみてはいかがでしょうか。。


#14 ビールグラス

ワインやシャンパンには専用のグラスが存在しますが、もちろんビールにも専用グラスといえるものが存在します。ビアガーデンなどではお馴染みの取手付きのジョッキや、ピルスナーグラスなどの専用グラスにお気に入りのビールを注いで飲むと、何だか美味しくなった気がしますが、それを突き詰めたのがベルギービール。何とブランド・銘柄ごとに専用のグラスが存在しています。

専用グラスは香り、味わいそして泡立ちなど、そのビールを最もおいしく飲むことができるように造られており、ベルギーのカフェでは、たとえビールがあってもその専用グラスが出払っていればビールを出してくれないほどベルギービールと専用グラスとは密接な関係があります。

ただ専用グラスといってもブランドと同じだけ種類がある訳ではなく、大きくわけると聖杯型、チューリップ型、フルート型、タンブラー型など6タイプに分類することができるようです。

 

以下、“ベルギービール Japan”より

 

■聖杯型

名前からもわかるとおり、キリスト教の儀式でワインを入れる聖杯を模したもので、トラピストやアビイなどの修道院ビールで使われることが多い。飲み口が広いのは、芳醇な香りを楽しむためといわれ、また修道院ビールはアルコール度数が高めものが多く、ゆっくり飲めるよう平たくなっている。代表的な銘柄は、“ORVAL”。

■チューリップ型(バルーン型)

口の下にあるくびれた部分で泡を押さえつけて固めることで、泡持ちをよくするとともに、泡がグラスの外にあふれ出すのを防いでいる。また、泡には炭酸ガスを中に閉じ込める働きもあるという。代表は、写真にある"Duvel"のグラス。底には美しい泡立ちを保つため、わざと小さな傷をつけている。

■フルート型

"Boon Framboise"など、ランビック系の酸味のあるビール用に作られたのがフルート型。ランビック系のビールは広口のグラスで飲むと、舌の両側で酸味を受けてしまうため、ビールが舌の中央の甘みを感じる部分に直線的に当たるように細長いフォルムになった。適度に泡立てることができ、色合いを楽しめる形でもある。

■タンブラー型

ホワイトビールやセゾンビールなど、色が薄めで低い温度で飲みたいビールは、ズシリと重たいタンブラー型が最適。4~5ミリもある分厚いガラスの保冷効果のおかげで、クリーミーな泡とさわやかな口当たりの清涼感が楽しめる。ちなみに写真のヒューガルデン・ホワイトのグラスは、“逆さまにした釣鐘”を型どったものらしい。

■複合型

細身の足付きタンブラーやフルート型+チューリップ型、聖杯型+チューリップ型など、いくつかのタイプのグラスがブレンドされた形。ワイングラスのような長めの足が付いたものが多く、2種類のグラスのいいとこ取りという感じ。ビールのタイプによる偏りはそれほどない。

■取手付き&特殊型

蜂蜜味のバルバール、木製の台の付いたパウエル・クワック、リーフマンスのホットビール……などなど、キャラクターの立ったビールに多いタイプ。ジョッキ型や台付きなど取っ手のあるもの、または、他の5種には収まりきらない特殊な形のものが、ここに分類される。


#13 Lagunitas Brewing Company

They are known for iconoclastic interpretations of traditional beer styles, and irreverent descriptive text and stories on their packaging. Lagunitas Brewing's flagship, IPA, is consistently the best-selling IPA in the state of California according to IRI, the widely cited consumer product reporting company.

(from Wikipedia)

 

アメリカのクラフトビールメーカー、ラグニタス・ブルーイング。1993年にTony Mageeによってカリフォルニアに設立された新興ブリュワリーですが、その伝統を打破する新しいスタイルのビール造りが支持され、急成長を遂げているようです。看板商品はIPAで、モルトとホップが非常にいいバランスで絡み合い、それでいて他にはない個性豊かなホップ感を醸し出しているのが特徴です。

面白いのは、創業者のトニー・マギーが大のフランク・ザッパ好きで、2006年にはザッパのアルバム“Freak Out!”“Cruising with Ruben & the Jets”のジャケット写真をラベルにした限定ビールを発売。その後もシリーズ化して全部で5種類の限定版を発売したようです。それとこれは面白いというよりは驚いたことなんですが、自社のホームページに従業員のタトゥー写真のサイトを作っているんですね。

http://lagunitas.com/gallery/category/lagunitas-tattoos/

 

アップされているのは自社キャラクターのタトゥーのみですが、ザッパモデルの発売といい、タトゥーといい、かなりファンキーな醸造所です。こんな会社、大好きです。

 

機会があれば一度飲んでみようと思っています。


#12 ショップレイアウト

 

ショップのイメージを固めるため、簡単な平面図を作ってみました。

3階立てビルの3階に位置するため、入り口は一番奥になります。図面でもお分かりのように全体に細長く、自ずと各設備の位置が決まってしまいますが、中央にカウンターを置くことで少ないスタッフでも切り盛りできるようにレイアウトしてみました。カウンター奥には樽生用のビア・サーバーを設置。ここで各醸造所や卸から配送される最大20種類のクラフトビールをサーブすることになります。

 

カウンター左には厨房を配置し、カウンターのスタッフ(多分自分になります)と厨房とのコミュケーションロスを防ぐとともに、お互いのサポートがすぐにできるようにもなっています。また厨房にはインポートビールのストックもしなければならないので、大型の冷蔵設備が必要となります。ただ設備をどのようなものにしていくかはこれから詰めていくので、設備次第では根本的にレイアウトを見直すことになるやもしれません。

 

あと肝心の客席ですが、カウンター9席(図面では8席となっていますが)、テーブルが16席の計25席を予定。全体的にゆったりとした空間にしていきたいのと、スタッフが自分も含め総勢3名(予定)なので、これがマックスだと考えています。

 

まあ、あくまでも仮の計画なので、実際の設計図では全く違ったものになるかもしれませんが、いろんなことを考え、手を動かして形にしていくのは結構楽しいものです。これから厳しい現実に直面することは避けられないので、それまでは自由に想像の中での成功体験を味わっていくつもりです。


#11 ビールを初めて造った日本人

日本で最初にビールを造ったのは三田藩(さんだはん:現在の兵庫県三田市)お抱えの蘭学者川本幸民といわれています。幸民は1853年にペリーが浦賀に来航した際、通訳として船内に乗り込みましたが、そこで振る舞われたビールにいたく興味を抱いたそうです。その後自宅にかまどを造り醸造に成功。元々が化学と物理に秀でており、翻訳したオランダ語の「化学新書」にビールの造り方が載っていたこと、また黒船騒ぎで西洋の進んだ技術を目の当たりにして意気消沈していた日本人が、西洋と同じものが造れることを証明し、自信を取り戻したいと考えたこともビール造りの一因だったようです。

当時の状況を考えると、上面発酵のエールであった可能性が高いのですが、そうやって造られたビールは、また格別だったのではないでしょうか。その後浅草の曹源寺にて幕末の志士や蘭学者を集め、試飲会も開いたようですが、おそらく集まった人たちの士気も大いに揚がったことでしょうね。

そしてこの幸民が造ったといわれているビールですが、兵庫県伊丹市の小西酒造によって2010年に「幸民麦酒」として復元されました。2010年が幸民生誕200年ということもあり、三田市から小西酒造に復元依頼があったため、「化学新書」の記述をもとに復元に挑み、そして成功したとのことです。

小西酒造のホームページで購入可能なので、一度飲んでみたいと思っていますが、興味のある方は「幕末のビール」、同じくお試しください。飲まれたらぜひインプレッションをお願いいたします。

 

http://choujugura.com/SHOP/95417.html


#10 店舗探し再開

候補の一番手だった鎌倉御成通りの店舗は、可能性がほぼゼロとなったようです。

第2候補として考えていた物件も具体的な条件が提示されましたが、狭くて家賃が高すぎるのが難点。24㎡で月額27万円、管理費も入れると約30万円となり、坪単価は4万円以上とかなり厳しい条件です。場所は紀ノ国屋の近くで問題はないのですが、いくら1階とはいえ高すぎますね。六本木の一等地並の家賃ではとても採算が合わないということで、こちらも諦めるしかないようです。

 

引き続き不動産情報をこまめに集めていますが、やはり希望通りの物件はなかなかでてきません。このままでは先に進めないので鎌倉での出店というのは一旦凍結して、候補地を広げることにしました。鎌倉に店を出すのが目的ではなく、クラフトビールの専門店を開くのが目的なので、その目的達成のためのベストな選択をすべきなんですよね。

 

そんな訳で、早速候補地を世田谷区・目黒区にまで広げ、店舗情報を集めているところですが、桜新町に条件のよい物件がみつかりました。サザエさん通りに面した3階建てビルの3階になりますが、通りからの視認性も悪くなく、店舗の広さも約20坪、家賃が30万円以下とほぼ問題ない条件となっています。まだ他にも探しているので、即決することはありませんが、今のところ第一候補として考えており、来週には具体的な条件を詰めていくことになるでしょう。売上げ/利益のシミュレーション結果も悪くはないので、よほどのことがない限りここになる可能性は高いといえますね。

 

来週からは周辺の昼間・夜の人通りや、近隣の店の集客状況などのリサーチに入る予定です。